電験三種合格を目指す上で、電気の勉強は当然必要になります。
しかし、電気の勉強だけで本当に合格出来るのでしょうか?
電験三種合格のためには、電気の勉強以外に必要なことがあります。
電験三種合格に向けて、電気の勉強以外に必要な7つのことについて、自身の経験を元に解説していきたいと思います。
電験三種合格のために電気の勉強以外に必要な7つのこと
その①~数学
電験三種を突破するには、兎にも角にも数学を避ける事は不可能です(汗)
と言うよりもむしろ、数学の知識を使うことによって、より理解をしやすくなる、といった方が良いのかもしれません。
電験に出てくる数式や公式は、物理法則や物理量の定義を数学に置き換えて表現したものと考える事が出来ます。
電気理論を理解するための電気数学について、電験三種の最初の入口である【理論】科目においても、
- 三角関数(交流回路、力率計算、有効電力、無効電力)
- ベクトル、複素数(RLC回路、三相交流)
の項目で、高校数学でおなじみの記号や関数が出て来ます。
また、【機械】科目においては上記に加えて
- 対数計算(自動制御におけるゲイン計算)
- 基数法、論理回路(情報処理)
についても理解しておく必要があります。
しかしながら、電験三種に必要な数学の知識はそこまで深く理解しておく必要はありません。
電験三種向けの参考書として、電気数学のみを扱った書籍も出されていますが、私の個人的な感想としては、電気の勉強の中で身に付けていくことで十分であると考えています。
数学に対し嫌悪感を感じることなく、電気の勉強の一部として取り組むことが効果的だと考えます。
その②~英語
『電力が苦手な人むけの勉強法について』の記事にて、『英語名と英語略称合わせて覚える』事が効果的ということを説明しました。
電気の勉強をしている中『日本語で書くと文字数と画数が多くてとても大変!』という風に感じられる人も多いのではないでしょうか?
例えば、電験の中でよく見かける用語を例にとってみましょう。
- 過電流継電器…(6文字77画)
- 誘導起電力…(5文字54画)
- 逆阻止三端子サイリスタ…(11文字47画)
電験に出てくる用語は、どうしてこんなにも漢字の画数と文字数が多いのでしょう???
真面目にノートに書いていると腱鞘炎になりそうです。
(特に“電”の字はもういい加減、書き飽きました!)
これらを英語で表すと、
- 過電流継電器⇒OCR(3文字)(Over Current Relay)
- 誘導起電力⇒E(1文字)(Electromotive force, EMF)
- 逆阻止三端子サイリスタ⇒SCR(3文字)(Silicon Controlled Rectifier: シリコン制御整流子)
といったふうに、すっきりスマートに書くことが出来ます。
普段の勉強の中で、文字数、画数を減らす工夫をすることにより、体力(シャープペンの芯、勉強用のノート)の消費を減らして、効率よく勉強を進める事ができるようになります。
電験と英語、あまり関連性が無いように見えますが、頻出の用語については、英語の名称・略称も合わせて覚える事が効果的だと言えます。
その③~文章の読解力
電験(電気主任技術者試験)は、(当たり前ですが…)問題文はすべて日本語で書かれています。
が、私たちは普段、日常生活で日本語を使って読み書きしているにも関わらず、電験三種に出題される問題文の中には、長文で且つ、似たような用語が並んでいることにより、正しく内容を理解するのが難しいものがあります。
たとえば、過去問を例に見てみましょう。
令和元年度 三種 法規 問9より
問1 「電気設備技術基準の解釈」に基づく分散型電源の系統連系設備に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 逆潮流とは,分散型電源設置者の構内から,一般送配電事業者が運用する電力系統側へ向かう有効電力の流れをいう。
(2) 単独運転とは,分散型電源が,連系している電力系統から解列された状態において,当該分散型電源設置者の構内負荷にのみ電力を供給している状態のことをいう。
(3) 単相 3 線式の低圧の電力系統に分散型電源を連系する際,負荷の不平衡により中性線に最大電流が生じるおそれがあるため,分散型電源を施設した構内の電路において,負荷及び分散型電源の並列点よりも系統側の 3 極に過電流引き外し素子を有する遮断器を施設した。
(4) 低圧の電力系統に分散型電源を連系する際,異常時に分散型電源を自動的に解列するための装置を施設した。
(5) 高圧の電力系統に分散型電源を連系する際,分散型電源設置者の技術員駐在箇所と電力系統を運用する一般送配電事業者の事業所との間に,停電時においても通話可能なものであること等の一定の要件を満たした電話設備を施設した。
引用元:一般財団法人 電気技術者試験センター 第三種電気主任技術者試験の問題と解答 より
いかがでしょうか???
結構な長文ですよね。
この問題文は文字数だけで見ると483文字あります。一般に、 日本人が1分間に読める文字数の平均は400~600字と言われているようです。
従って、本設問については問題文を読むだけで最低1分間以上は必要となります。
普段、小説や新聞を読んだりするのとは違って、試験問題の問題文を正確に理解するためには、さらにもう少し時間がかかる事もあるでしょう。
電験三種の試験問題は、【理論】、【電力】、【機械】については90分間で20問、【法規】については、65分間で16問の問題に解答しなくてはなりません。
これは単純に1問あたり4分~4分30秒以内で答えを導いてマークシートを塗りつぶさなくてはならないことになります。
問題文を読むのに少し長めに時間がかかったとして、読み返し等を含めて1分30秒要したとしましょう。その場合、マークシートの塗りつぶしを考慮して、2分30秒程度で正しい答えを導き出すことが必要となります。
ところが一方で、(この設問に限ったことではありませんが)一瞬見て明らかに『答えは○番』と即座に断言できるような設問は極めて少なく、誤答に誘導させようとするような、紛らわしい単語が文中に含まれているケースが多くあります。
そのため、往々にして『あれ?これってどっちだったっけ?』と迷ってしまうケースが少なくありません。
たとえば、本設問における分散型電源の系統連系設備に関する用語について、紛らわしい選択肢となるものの例として、
- 逆潮流 / 逆充電
- 単独運転 / 自立運転
- 【受動的】単独運転検出装置 / 【能動的】単独運転検出装置
- 有効電力 / 無効電力
- 系統連系 / 解列 / 再閉路
と言ったものが挙げられます。
2分30秒程度の短い時間の中で正しい解答を導くにためには迷っている時間は殆どありません。
また、一つの設問に対する解答時間がかかりすぎると、残りの設問にかけれれる時間がだんだんと短くなってしまい、焦りを生じる原因となってしまいます。
このように、電験三種合格の為には日本語の読解力(=素早く正確に読み解き、正答を導く事)が重要となります。
その為には、まずは用語に対する理解を深める事が必要となります。
日頃より、(電気に関連する用語で)判らない言葉があればその都度、調べるような習慣を身に付けることにより、読解力のアップにつなげる事が出来ると考えます。
その④~持久力
電験三種の試験は、丸一日がかりで4科目ぶっ通しで実施されます。
時間は、朝9:15~夕方:17:30までとなります。かなりの長丁場の試験です。
4科目すべて受験した場合、試験開始1時間前から入室できたとして、(途中、休憩はありますが…)
9時間近くも試験会場にこもりっきりになります。
学生時代に比べて机に向かう時間が少なくなった社会人にとっては、一日中机に向かいっぱなしというのは、想像以上にストレスを感じてしまうものです。
私は、学生時代もあまり机に向かってませんでしたが…💧
実際、私自身も初めての電験三種の受験時は、最後の【法規】科目の頃には、かなり体力を消耗して疲労困憊であったのをを覚えています。
もちろん、周りにも同じような受験生は多くいらっしゃいました。
実は、電験三種の4科目目【法規】試験では、試験途中での退出が認められていません!
その為、4科目目【法規】では、試験時間開始早々からこのような感じで机に突っ伏していびきをかいている受験生もちらほら見かけました(汗)
電験三種攻略については、最初から一発合格を狙わず、科目合格を重ねて複数年で合格を目指す方が良いといった意見もあります。
これについては色々な考えがありますが、初年度全科目一発合格を目指すことによるメリットは大きいと考えます。
- 長期化すると心身共に(+経済面も)負担が大きくなる。
- 科目合格の留保は合格した年の翌年から2年間であり、2年連続で落とすと後が無くなる。
- 受験必要な4科目はそれぞれ関連性のある分野もあり、集中して勉強した方が効率的(ex.電力と法規)
私自身も結果的には二回の受験でなんとか合格できましたが、やはり初年度より全科目一発合格を目指していことが最終的には良かったと感じています。
4科目ぶっ通しでやり切れる持久力を持ち合わせる事は、電験突破において大きな自信になることは間違いないと考えます。
その⑤~集中力
その④~持久力 と被る部分もありますが、電験三種突破のためには持久力と同時に集中力も必要となります。
電験三種は、【理論】、【電力】、【機械】については90分間、【法規】については65分間の試験時間となります。
意外と短いようにも感じますが、90分間じっと集中力を途切れさせずに試験問題に向き合うのは、なかなか大変です。
しかも、問題を解き進めているうちにどれも正しい正答を選べているかどうか自信を持てず、時として不安になってしまう事があります。
そうなってしまうと集中力が途切れてしまい、残りの問題にじっくりと取り組むことが難しくなってしまいます。
こればかりは、慣れによる部分も大きいこともあるでしょう。
時間の余裕があるときには、実際に90分間(【法規】科目は65分間)の時間を計測して、試験問題の演習をすることも効果的ではないでしょうか?
その⑥~冷静さ
電験三種の試験時間は非常に長丁場です。
その為、試験中において予想しないようなハプニングが起こる事もあるでしょう。
私の電験三種初受験時(平成30年)のエピソードとしては、【理論】の試験時に(問1)が計算問題では無かったにも関わらず、隣の席の受験生が電卓を激しく強打する音に焦ってしまい、一問目から正答を選ぶことが出来ずに間違えてしまった、と言うことがありました。
また、よくあるパターンとして、計算問題において自信を持って電卓のキーを叩き続けて、やっとの思いで液晶画面に表示された数字が、選択肢(1)~(5)のどれにも近い数字で無かった。といったことを経験された方も少なくないでしょう。
あの瞬間の絶望感といったら、それはもうショック😱ですよね。
その結果、平常心を失って慌ててしまい、その後の試験にも影響が出てしまうといった場合もあり得ます。
このように、試験中はいかなる事態においても常に冷静さを欠くことが無いように、精神力も必要となってきます。
その⑦~信念
電験合格に向けて一番必要なのは、『絶対合格するぞ!』という強い信念ではないでしょうか?
もちろん、普段から電気設備に関連する仕事に従事している人や、電気分野に関してプロフェッショナルな人であれば、全く勉強しなくても一発合格出来る人もおられるかもしれません。
しかし、(私も含めてですが)電験に挑戦された大半は、『合格したい!』という気持ちを強く持って努力された方々ばかりではないでしょうか?
強い信念を持って挑んた試験に合格することが出来れば、また、更なる次の目標に向けて進むことが出来るのではと日頃より感じています。
まとめ
- 電験三種合格のために電気の勉強以外に必要な7つのこと
- その①~数学
- その②~英語
- その③~日本語の読解力
- その④~持久力
- その⑤~集中力
- その⑥~冷静さ
- その⑦~信念⇒一番大事!!
今回はここまでとさせて頂きます。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。