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電験二種二次試験【電力・管理】攻略法~論説編『丸暗記に頼らずに確実に得点を稼ぐ秘訣について』

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電験二種二次試験を難しくしている原因の一つに、 電験三種や電験二種一次試験で出題されることが無かった 【論説】問題が出題されるという点が挙げられます。

【論説】問題では、空白の解答用紙に設問に対する解答を自分自身の言葉を用いて記入しなくてはなりません。

電験三種、電験二種一次試験で出題されるマークシート方式のように、

  • 選択肢を絞り込んでおおよその勘で答えたり…
  • 消去法で解答したり…

する事が出来ません。

そのため、【論説】問題では設問の内容に対してより正確且つ、深堀りした知識が必要となります。

普段、発電所や変電所に勤務されている方であったり、工場や施設等で日々の業務において電気設備を日頃から扱ったりしている方であれば、【論説】問題に対しても苦手意識を持つことなく臨むことができ、また得点源とすることが出来るでしょう。

しかしながら、普段電気設備にあまり触れる機会が無かったり、そもそも業務上電気工作物の維持、管理、運用を行う職種に就いていない人にとっては、【論説】問題への対策は極めて困難です。

各出題分野における用語について、内容を正確に理解することなく闇雲に丸暗記するだけでは、試験本番では歯が立たずに立ち行かなくなってしまいます。

電験二種二次試験において、特に論説問題が出題されやすい【電力・管理】科目に対して、論説問題における攻略法についてまとめました。

出題される問題の傾向

令和3年 電験二種二次試験 受験報告(2021.11.14)
令和3年 電験二種二次試験 受験報告(2021.11.14)2019年の電験二種への初挑戦後、3回目の受験にして初めて一次試験を通過し、この度、二次試験に進むことが出来ました。 初めての電験二種 二次試験の受験をしてきましたので、ご報告をさせて頂きます。 この先、電験二種 二次試験を受験される方にとって、少しでも参考になれば幸いです。...

電験二種二次試験【電力・管理】の出題範囲は、電気設備や送電線路、配電線路、あるいは電気事業法、電気設備電気設備に関する技術基準などの各法令についての内容を問う問題が出され、約50%が【論説】問題として出題されます。

令和3年 電験二種二次試験【電力・管理】では、大問6問中、問1、問2、問5 の3問が【論説】問題として出題されました。(問5は、A~Iまで、9つの空欄に対する穴埋め問題)

電験二種二次試験【電力・管理】 科目で出題される【論説】問題に対して、下記の問題集及び、試験の問題と解答 | ECEE 一般財団法人電気技術者試験センターのサイトを参考にして過去問の分析を行いました。

やっさん

こちらは電験二種二次試験向けの代表的問題集です。H7年~H30年までの過去問240問を網羅しています。通称【不動本】と言われているようです。
実際に持ってらっしゃる受験生の方も多い事だと思われます。私もこの一年本当にお世話になりました!

【論説】問題で頻繁に出題されるパターンについて以下にまとめました。

○○○方式についてのメリット・デメリットをそれぞれ挙げよ

『メリット・デメリットについて挙げよ』系問題は頻出です。

H30年では、

  • [問2]変電所母線の結線方式(単母線方式、複母線方式)の長所・短所
  • [問4]架空配電系統と比較したときの地中配電系統のメリットとデメリット
  • [問6]抵抗接地方式について、直接接地方式と比較した場合の長所・短所

と、【論説】問題3問ともが、メリット・デメリット系の出題となっています。(引用元:試験の問題と解答 | ECEE 一般財団法人電気技術者試験センター

ほかにも

  • 調相設備(電力用コンデンサ、分路リアクトル、同期調相機、静止型無効電力補償装置)[H9年:問5]、[H16年:問2]
  • ボイラ設備(自然循環ボイラ、強制循環ボイラ、貫流ボイラ)[H25年:問1]

等について、それぞれの方式やタイプに対する違いについて説明する問題も出題されています。

設備や方式に複数のタイプが存在するということは、すなわちそれぞれにおいて長所、短所があるという事であり、正答を導く為にはこれらについてしっかりと理解することが重要と言えます。

○○○についての目的、基本機能、原理、留意点 を説明せよ

目的、基本機能、原理、留意点について説明を求めるパターンも頻出と言えます。

出題分野としては、火力発電に関する問題多く見られる傾向があると言えます。

火力発電所には様々な設備や機器があり、またそれぞれにおいて非常に重要な機能や役割を持っているため、出題しやすい分野であると言えるでしょう。

火力発電所における様々な設備の構造や仕組み、問題点やそれに伴う対策方法について理解を問う問題が多く出題されています。

【電力・管理】火力発電に関する論説問題出題例
  • タービン発電機の進相運転[H22:問1]
  • 発電機励磁方式[H13:問1]、[H23年:問1]
  • 非常用ディーゼル発電機に接続されているタービン補機について[R01:問1]

火力発電所で勤務している方であれば日常業務の中で日々関わっているものばかりかも知れませんが、普段から電気設備に触れる機会があまりない人にとっては、設問の内容を正確に理解していないと解答するのがなかなか困難と言えるでしょう。

○○○についての問題点、および防ぐための対策について説明せよ

問題点+対策をセットで問う問題もかなりの確率出題されています。

例えば、[H29:問1]では、コンバインドサイクル発電について、大気温度上昇における問題点とその対策について、出題がされています。

問題点および対策に関する設問に対しては、

  • 問題点における現象について
  • なぜその現象が起こるのか
  • その現象を回避(防止)するにはどうすれば良いのか

を、それぞれセットで覚えることも効果的と言えます。

たとえば、

夏季におけるコンバインドサイクルの効率低下における問題点について
  • (現象)コンバインドサイクル発電は夏場に効率が低下する
  • (原因)大気温度が上がると空気が膨張し、空気密度が小さくなることにより、ガスタービンの圧縮機に取り込む空気の質量流量が低下する事により引き起こされる
  • (対策)吸入空気温度を下げる
    ガスタービンの出力低下を補うために、ボイラでの蒸気発生量を増加させる
  • (方法)エバポレータークーラ方式,チラー方式などのガスタービン吸気冷却装置を設置する
    助燃バーナを設置し蒸気タービンの出力を向上させる

他にも、

フェランチ効果における問題点について
  • (現象)送電端電圧の方が受電端電圧よりも高くなる
  • (原因)深夜の軽負荷時や無負荷時に進み電流が流れる事によって生じる
  • (対策)力率が進み過ぎにより生じる現象であるため、遅らせる事により対応する
  • (方法)分路リアクトルの使用、電力用コンデンサを切り離す etc

このように、(現象)-(原因)-(対策)-(方法)を一連の塊として覚える事により、より理解を深める事が出来ると言えるでしょう。

【論説】問題で気を付けるべき点

満点を取る必要ない

電験二種二次試験では、大問1問当り30点の配点となりますが、満点を狙う必要はありません。

というよりも、配点基準がはっきりしていない為、どのように解答すれば満点になるのか、試験センターの人以外は誰も知る由もありません。

【論説】問題では満点を狙うのではなく、いかに部分点を稼ぐかという点が重要となります。

知っている事を出来るだけたくさん書く

満点は必要ないと申し上げましたが、何も書かないと当然0点です。

できるだけ得点を稼ぐために必要なのは、『何か知ってることを、出来るだけたくさん書く』という事が大切となります。

電験二種二次試験を受験される方は全員一次試験を合格している人であり、当然、電験の出題範囲に対しある程度知識があると言える人ばかりとなります。

その為、『問題文の意味が全く解りません!?』なんて人はほぼいないと思われます。

二次試験まで進んだ受験生は、試験中にこのような感じになることは、きっと無いと思われます???

いざ本番になると、『あ~っ。これ、知ってる知ってる!。知ってるねんけど、何て書けばいいの?』といった状況に陥ることもありますが、慌てずに落ち着きましょう。

とにかくこれまで勉強してきたことを冷静に思い出して、

  • 難しい用語は使わず
  • わかり易い文章で
  • できるだけ簡単に

何かを書く事が大切です。

しかも、何でもかんでもただ文書を書けば良いというわけでは無く、まとめ上げる事も必要です。文字数は100~200字程度に収めるのが目安と言えましょう。

ここ数年の出題では『100字程度述べよ』などと、解答に対する注意事項が書かれているケースもあります。

100字程度というと、あんまり多くは書けません。

ちなみに、ちょうどTwitterでツイートできる文字数が140文字になります。

普段ツイッターを使って情報発信をしたりやコミュニケーションをとったりされている方は、自分の考えや意見について指定された文字数で簡潔にまとめるように意識してツイートする事により、二次試験【論説】問題への対策として効果的と考えます。

あいまいな事、嘘は書かない

配点基準がはっきりしていないと申し上げましたが、嘘や間違いを書いてしまうと、確実に減点の対象になると考えられます。

その為、解答用紙には、自信を持って言い切れることだけを書くべきと考えます。

解答すべき内容について、記憶があいまいであったり、自信が持てない場合は、思い切って無理に書かないという選択も必要と考えます。

論説問題に向けての攻略法について

公式回答や模範解答を丸暗記しない

過去問を見ても、類似の問題が繰り返し出されているパターンも多々見受けられます。

しかしながら、公式解答や模範解答を丸暗記してしまうやり方の場合、その場では理解したつもりであっても、実際は問題文の本質を理解できていないといった事が多々あります。

その為、問題文の言い回しが少し変わったりしてしまうと、対応できない可能性が有ります。

問題の設問に対する解答を丸暗記せずに、自分自身の言葉で解答できるようにすることが必要と考えます。

(電気に関して馴染みが薄い)家族や友人に説明できるように

難しい用語を苦労して覚えても、忘れてしまうパターンが多々あります。

いざ、解答用紙に答えを記入しようとしても『あれ?なんだたっけ?』となってしまい、結局、全くもって大嘘を書いてしまったという事にもなりかねません。

この問題に対しては、できるだけ簡単な単語でわかり易く、しかもその分野に関する知識が薄い人がわかるように説明できるようになれば、ほぼ正解に近い解答を文章にすることが出来るはずです。

その為に、心がけたいポイントとして、電力科目の過去問題で出題されたキーワード(用語)について、他人にわかり易く説明できるように、日々習慣化することが効果的であると考えます。

例えば、

  • 【発電】キャビテーション、水撃作用、コンバインドサイクル発電、
  • 【変電】油変圧器、
  • 【送電】フェランチ効果、雷撃に対する対策、風雪害対策(微風振動、サブスパン振動、スリートジャンプ、ギャロッピング)
  • 【配電】地中ケーブル、誘電正接

などなど…

これらの用語について、電気について殆ど詳しくない人に説明するにはどうすれば良いでしょう?

まずは、自分自身で内容を正しく理解し、だれでもわかる言葉に置き換える事をしなければなりません。そうした結果として、【論説】問題に対してほぼ完答に近い解答を得ることに繋がると考えます。

友人A

やっさんさぁ。最近、ニュースとかで『電線地中化』とか言ってるけど、あれってどういうことなん?

やっさん

電線地中化は色々メリットがあるねん!

例えば、災害時に電柱の倒壊とかが無いから事故復旧も早いし、何より電線が見えへんから景観を損なわへん。それに、電柱を建てるために歩道を狭くしたりせんでええからバリアフリー化にも役立つねん。

デメリットとしては、地下に工事せなあかんから工事費がとにかく高い。それから、地震とかで地中ケーブルの断線が生じた時に、断線箇所の特定に時間がかかるのが問題やな。布設工事の時はガス管や水道管との離隔も考えなあかんから、場所によっては制約がでてくるんや。

こんな感じでスラスラと答えられると、Good!ですよね。

電験二種(一種)一次試験【電力】科目の問題の空欄を選択肢を見ずに空で読める

(当然ですが…)電験二種二次試験を受験される方は、一次試験を合格された人ばかりです。

電験二種(一種)の一次試験【電力】科目では、計算問題は殆ど出題されません。

電験二種一次試験【電力】科目では、発電所、変電所の設備・機器、送電線路、配電線路に関する用語や名称等について、大問7問が説明文と共に出題され、各設問に対して5つの空欄に当てはまる用語を、15個の選択肢の中から選択しマークシートにより解答します。

各空欄に当てはまる用語は、文脈よりせいぜい3~4個に絞り込みが出来るため、正確に覚えていなくても何となく勘で答える事も可能です。

ここで、二次試験【電力・管理】科目の【論説】問題を見てみると、一次試験の試験問題をそのまま問題文として使えるような設問が多く出題されています。

例えば、令和元年 電験二種一次試験【電力】科目[R01:問7]の問題を見てみましょう。

この問題の場合は、

問:直流送電方式のメリット・デメリットについてそれぞれ3つずつ上げよ

といった形で、二次試験にそのまま出題されてもおかしくない内容となっています。

すなわち、一次試験【電力】科目の問題は、二次試験【論説】問題の対策にはうってつけと考えます。

一次試験【電力】科目の空欄を、問題中の選択肢を全く見ることなく、すべて空で読めることが出来れば、【論説】問題についてもほぼ満点に近い得点を得る事が出来るのではないでしょうか?

一次試験【電力】科目を何度も読み返すことにより、二次試験【論説】問題の得点力は大幅に向上することが出来るでしょう。

時事問題や世の中の動向に目を向ける

近年、地球温暖化問題や脱炭素社会に向けてのエネルギー需給の見直し、原油価格高騰など、環境に関するニュースが日々取り上げられております。

それに伴い、火力発電の見直しや新エネルギー(再生可能エネルギー)分野への関心が非常に高まってきており、電験での出題も増加傾向にあります。

これらの分野から論説問題が出題される可能性も極めて高くなっており、日々最新の情勢に目を向けておく必要があります。

エネルギー問題に対する政府の取組みや、世界情勢などについては、

のといったサイトに詳しく説明がされています。

また、ここ最近に発生した大規模な電気事故(台風や地震による停電や電気設備の倒壊)のニュースなどにおいて、政府や公的機関のWebサイトにて詳細に説明されています。

例えば、

これらのように、電力系統事故が生じた原因や理由、対応方法についての内容を理解することが【論説】問題対策としても有効といえるでしょう。

日々の身近なニュースから、電気に関連する知識の幅と厚みを増やすよう意識することも重要と考えます。

まとめ

ここまで、 電験二種二次試験について、特に論説問題が出題されやすい【電力・管理】科目について、論説問題の攻略法についてまとめました。

【論説】問題への対策は人それぞれとは思いますが、今回、自身も初めて受験した結果、力をつけるために日々意識して心がけるべきポイントがあるように感じました。

今後、電験二種二次試験に挑戦される方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

  • 【論説】問題できをつけるべき点
    • 満点を取る必要ない
    • 知っている事を出来るだけたくさん書く
    • あいまいな事、嘘は書かない
  • 論説問題攻略のための対策について
    • 公式回答や模範解答を丸暗記しない
    • (電気に関して馴染みが薄い)家族や友人に説明できるように
    • 一次試験【電力】科目の問題の空欄を選択肢を見ずにそらで読める
    • 時事問題や社会情勢、電力系統事故の内容や発生原因、対策等について政府の取り組みにも目を向ける

今回はここまでとさせて頂きます。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。