2019年に電験二種に初挑戦して以来、3回目の受験にして初めて一次試験を通過し、この度ようやく二次試験に進むことが出来ました。
これまでの受験での勝敗結果はこちらになります。
初めての電験二種二次試験の受験をしてきましたので、この場でご報告をさせて頂きます。
電験二種二次試験は、これまで受験をしてきた電験三種、電験二種一次とは違い、
- 記述試験であること
- 受験生は全員一次試験を突破して二次試験に臨んでおり、誰でも受験できる試験ではないこと
が特徴としてあげられ、これまで経験した試験とは全く別のステージであると感じました。
実際に試験を受けてみた感想や、試験中の雰囲気など思った点についてまとめてみました。
この先、電験二種二次試験を受験される方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
電験二種二次試験ってどんな試験?
引用元:ECEE 一般財団法人電気技術者試験センター |令和3年度第一種・第二種電気主任技術者試験受験案内
出題科目と範囲
科目 | 電力・管理 | 機械・制御 |
---|---|---|
範囲 | 発電所及び変電所の設計および運転、送電線路および配電線路(屋内配線を含む。)の設計および運用並びに電気施設管理に関するもの | 電気機器、パワーエレクトロニクス、自動制御およびメカトロニクスに関するもの |
解答数 | 大問6問中4問を選択 (配点:各30点×4=120点満点) | 大問4問中2問を選択 (配点:各30点×2=60点満点) |
解答方式 | 記述方式 | 記述方式 |
試験時間(例年) | 10:00~12:00(120分) | 13:20~14:20(60分) |
合格基準
合格基準について、例年100点満点換算で60.0点以上(実得点180点満点で108点以上)、かつ、各科目ともに平均点以上としています。
但し、年度により難易度が難しかった場合は、合格点が引き下げられる場合があります。
出題の傾向について
【電力・管理】
- 電験三種、および電験二種一次試験の【電力】、【法規】科目を合わせたような内容から出題されます。
- 大問6問中、計算問題:論説問題=40%:60%~50%:50% 程度の比率です。
- マークシートでは無く記述式であるため、論説問題では採点者が読みやすく理解しやすい文章でまとめること、計算問題については解に至る過程を明記すること、が求められます。
- 計算問題は、小数点以下桁数の多い2次方程式の解を求めたり、複雑な虚数計算を行う問題が出題されることもあり、電卓を早く正確に使える事も求められます。
【機械・制御】
- 電験三種、および電験二種一次試験の【機械】科目の内、四機(器)…直流機、誘導機、同期機、変圧器、
およびパワーエレクトロニクス、自動制御の各分野からの出題が大半を占めます。 - 一方で、電験三種、および電験二種一次試験の【機械】科目で出題される照明、電気加熱、電気加熱、情報処理の分野からは殆ど出題されません。
- 大問4問中、4問ほぼすべてが計算問題です。(近年において、論説問題が出題された年度は極めて少ないです)
- 四機(器)に関する問題はある程度パターン化されており、対策を講じやすい一方で、パワーエレクトロニクスからの問題は過去問の流用が少なく、毎年異なる内容での出題となっています。
- 自動制御については、電験三種の範囲では主題されないラプラス変換や、制御系の安定性判別に関する問題も出題されるため、電験二種二次試験向けの対策が必要となります。
第1時限目【電力・管理】(10:00~12:00)
当日に出題された試験問題について、解説をしていきます。
試験問題
- 問1:【論説】火力発電における大気汚染物質について(煤じん、硫黄酸化物、窒素酸化物)
- 問2:【論説】 変電所における絶縁設計について
- 問3:【計算】単位法を用いた三相回路の故障電流について
- 問4:【計算】 分散型電源の系統連系について
- 問5:【論説】 地中送電線の絶縁劣化診断法と事故点測定法について
- 問6:【計算】 発電機の速度調停率について
令和3年度第二種電気主任技術者二次試験【電力・管理】の問題は、こちらに掲載されています。
(引用元:試験の問題と解答 | ECEE 一般財団法人電気技術者試験センター)
試験開始~2分間 (10:00~10:02)
ざっと設問を見て、【論説】×3問、【計算】×3問の構成であることを確認します。
【論説】は採点基準が明確ではなく、時間をかけさえすれば得点を稼げるというわけでもない為、苦手意識があります。
また、【問5】の設問は地中送電線の絶縁劣化診断法と事故点測定法について、A~Iまでの9か所の空欄に穴埋めをする問題です。
一見するとeasy問題のようにも見えましたが、このような問題の場合、穴埋めする用語の一部が合っていたからといって部分点をもらえる可能性は非常に低く、正解が0か1になってしまうため非常にリスキーです。
試験後改めて見直してみると比較的取りやすい問題にも思われましたが、本番ではリスクが大きいと判断し選択しませんでした。
論説問題に対しては、頭の奥に埋もれている記憶を比較的掘り出しやすそうな分野である【問1】を選択し、残りを3つを計算問題【問3】、【問4】、【問6】を選択することとします。
- 問1:【論説】火力発電における大気汚染物質について(煤じん、硫黄酸化物、窒素酸化物)
- 問3:【計算】単位法を用いた三相回路の故障電流について
- 問4:【計算】 分散型電源の系統連系について
- 問6:【計算】 発電機の速度調停率について
①問4(10:05~10:30)
あえて問1から順番に解くことはせず、最初は、 問4:【計算】 分散型電源の系統連系について から手を付けることとします。
分散形電源についてはここ近年も出題が増加傾向にあり、過去問でも馴染みがあった為(例えば、【電力・管理】[H26:問5]で類似問題が出題されています)、確実に回答できると判断し問4から始めました。
(後になって、この選択は失敗だったと思われます。)
小問(1)のベクトル図について、分散形電源による配電線への逆潮流は力率0である為、需要家端の相電圧:\(E_r\) の電圧ベクトルと同位相で逆向きになるはず。。。
それっぽい図を書けたは良いものの、初っ端の問題からいきなり間違えたらどうしよう?と、だんだん不安になってしまい、次の問題に中々進めず、無駄に時間が過ぎていき、しだいに焦りが生じて来ます。
小問(2)は、小問(1)のベクトル図から三平方の定理で変電所の相電圧: \(E_s\) を求める問題
落ち着いて解けばなんてことはないはずですが、根号の中の計算の桁数が多く電卓の打ち間違いが出そうです。
なんとか気合を振り絞って電卓の液晶画面に回答を表示させるところまでこぎつけましたが、どうも値が変?
ここでドツボに嵌ってるわけにはいかないので、電卓の数字をそのまま解答用紙に記載。
試験終了後に再度問題用紙を見直してみたところ、愕然とする事実が2つも発覚しました。
- 送電線のリアクタンス:\(X=3\sqrt{3}\)なのに、なぜか \( \sqrt{3} \)で計算している可能性がありそう。
- 変電所端の線間電圧:\(E_{s}=6.6 \mathrm{[kV]} \)一定とあるにもかかわらず、
問題用紙の片隅に、\( E_{r}=\displaystyle \frac{6.6}{\sqrt{3}} \) \(\mathrm{[kV]} \)と自分自身で殴り書きされた形跡があり…
もしかしたら受電端電圧と送電端電圧を間違えてる???
おそらく小問(2)は部分点があってもお情けレベルかもしれません。
予想得点…配点30点中10点ぐらいか?
②問3(10:30~11:00)
まさかの1問目の完答ができませんでしたが、ひとまず30分で切り上げて気を取り直して2問目に移ります。
2問目は問3:【計算】単位法を用いた三相回路の故障電流について です。
いきなり初っ端なから、百分率で表示するパーセントインピーダンスに対し、単位法表記時に100で割るのか割らなくていいのか???
%Z=1[%]の場合、単位法で表記すると1[p.u.]なのか0.01[p.u.]なのか???
あまりにもどうでもいい所で考え込んでしまい、フリーズしてしまいまいた。
基準値に対する比であるはずなので、1[p.u.]は100[%]であるはず!と腹をくくって、小問(1)-(a)、(b)、小問(2) -(a)、(b)、(c)までは完答
小問(3)で発電機の容量を求めますがこれも計算が複雑です。ここで時間を食うとマズいので、エイヤーで答えを振り絞って回答しますが、どうも値がおかしい。(⇒結局間違い)
小問2つは押さえれたので、見限って次に行きます。
予想得点 …配点30点中25点あればラッキー
③問1(11:00~11:30)
ここまででちょうど半分の1時間経過。見直しの時間を考えるとちょっと押し気味かもしれません。試験前に何度もトイレに行ったのにかかわらず、またしてもトイレに行きたくなってしまいました💧
途中退席が認められる時間になりましたが、信じられないことに二次試験でも途中退出する人いるんですね😳
1時間で4問完答できるって、何者? それとも記念受験?
周りのことは気にせず残り1時間、集中力を切らさないよう進めます。
3問目は問1: 【論説】火力発電における大気汚染物質について(煤じん、硫黄酸化物、窒素酸化物)
です。
私自身、過去2年間で一次試験の【電力】科目は3回も受験しており、一次試験の過去問を相当回していたのが幸いしました。
煤じん、SOx、NOxなどの排煙処理に関する問題は、電験二種一次試験【電力】科目において、
にて出題されています。
キーワードとされる用語をつらつらと並べまくってなんとか回答。
ばいじんについて、余計な文言を書いてしまった(フィルタにより除去?)ので少し減点されるかも。
予想得点 …配点30点中20点は欲しい!
ここまでなんとか時間配分通り。
④問6(11:30~12:00)
最後は問6:【計算】 発電機の速度調停率について です。
速度調停率については、今年あたりにそろそろ出そうな気がしていており、前日に見直しをしていた為、『これはいけるはず!』と満を持して臨みます。
小問(1)はなんなくクリア
小問(2)も計算するだけ! と思いつつ負荷現象後の周波数:\(f\) と、負荷変化後の出力: \( P_a\) と \( P_b\) の3つの変数を求める方程式の立式までできたものの、慌ててしまい計算がうまくいかない。
必死の思いで叩いた電卓の液晶画面には、 \( P_a\) , \( P_b\) ともにどう考えてもあり得ないくらい小さい値が表示されている。
落ち着いて解けばなんてことないはずなのに、これが試験本番独特の雰囲気のせいなのか?
もう、やけくそになって、\( P_a\) と \( P_b\)は2:1で負荷分担すると勝手に宣言してむりやり回答(⇒当然間違い)
小問(2)の立式まで出来た点を評価してもらって、部分点で半分欲しいところ。
予想得点 …配点30点中15点くらい?
【電力・管理】科目 終了(12:00)
ここで試験終了の合図。
時間足りない足りないとは噂では聞いていましたが、本当に時間足りないすね💧
落ち着いて解けばなんてことはない問題ばかりかもしれませんが、試験独特の焦りと動揺で思い通りに出来ませんでした。
とはいえ、問題文の意味がさっぱり???といった設問は無く、難易度的には標準だったのでしょうか?
Totalギリ6割ってところでしょうか?
早速、Twitterや某掲示板の●ちゃんねるで、他受験生の反応を見たかったのですが、試験終了後まで我慢します。
昼休み(12:00~13:20)
試験会場近くはコンビニも無く、周りにお昼を食べられるような店もありません。
事前に買いだしていたおにぎり🍙を食べます。
試験開始前は余裕がなかったので気にしていませんでしたが、改めて周りの受験生をみると女性は一人もいませんでした。
大学生と思しき若い受験生が多い印象がありましたが、私よりも年上と思われる、かなりのベテラン職人さん的な方も、ちらほらいらっしゃいました。
皆さん共通して、『職場で電験を取るように言われて、上司から指示されて(しょうがなく💧)受験しに来ました』という感じでは無く、『試験合格で自力で二種を取るんだ!』という気迫が表情に表れていました。
周りの受験生の気合に圧倒されそうでしたが、平常心を保つことを意識して、午後に挑みます。
昼休みが12:00~13:20ですが15分前に入室しておかないとならない為、お昼ごはんを食べていると午後の準備が出来るのは実質、30分程度もありません。
あまりゆっくりできませんでした。
第2時限目【機械・制御】(13:20~14:20)
さて、午後からは【機械・制御】です。
試験問題
- 問1:【計算】三相誘導電動機に関する諸量
- 問2:【計算】単相変圧器に関する諸量
- 問3:【計算】チョッパ回路に関する諸量
- 問4:【計算】 フィードバック制御系における安定性判別
令和3年度第二種電気主任技術者二次試験【機械・制御】の問題は、こちらに掲載されています。
(引用元:試験の問題と解答 | ECEE 一般財団法人電気技術者試験センター)
試験開始~2分間 (13:20~13:22)
いつも通り、【計算】×4問の構成です。
(もはや、説明する必要もありませんが…)問答無用でパワエレの問3は捨てます。
問1 の誘導機がサービス問題かと思いましたが小問が6問もあり、途中で1つミスると残り全滅のパターンになりそうなので、ちょっと怖いです。
まずは保留
問2 は変圧器の百分率抵抗降下、百分率リアクタンス降下、インピーダンスのオーム値を求める系。これは外してはいけないやつ。
確実に取るよう選択します。
問4 の自動制御は比較的苦手意識のあるボード線図とかナイキストとかでは無いので行けそうと判断。誘導機と比べるとミスしたときの被害が少なそうなので、結局こちらを選択。
- 問2:【計算】三相誘導電動機に関する諸量
- 問4:【計算】 フィードバック制御系における安定性判別
①問2(13:25~13:50)
小問(1)~(3)までは難なく完答。途中、何度も検算をしたため少し時間が押し気味です。
二次側にリアクトルを接続したときの等価回路を描いて電流値から全リアクタンスを計算。
係数の小数点が細かいので電卓叩きミスが生じそうになります。
何度計算しても値がどうもおかしい。。。
焦りが出てきますが、小問4問中、3問までは完答できたので良しとして途中で放棄。適当に数字だけ書いて終了。
予想得点 …配点30点中20点くらい?
②問4(13:50~14:20)
いよいよ最後の問題。
制御系の伝達関数を求めるところで間違えると目も当てられないから、慎重に。
普段は暗算で済ますところも、解答用紙に書き写して計算します。
しかしながら、試験後気付いたのですが、 なんと、ここで大問題が!
開ループ伝達関数 \( G(s) \) を、事もあろうに閉ループ伝達関数として計算して、
\( \displaystyle \frac{G(s)}{1+G(s)} \)
と計算してしまっていました。
⇒つまり、小問(2)の答えを小問(1)に記入し、続く小問(2)~(4)を解いていたのです!!!!
そのため、立式は合っているのですが全て計算結果が間違いになっています。
小問(4)まで解ききって、かなりの手ごたえと達成感があったのですが、小問(1)のミスですべて水の泡です。
せめて30%くらいは部分点くれないでしょうか?
予想得点 …配点30点中10点は欲しい!(ホンマにお願い)
【機械・制御】科目 終了(14:20)
ここで試験終了の合図。
一応、出来る事は全てやり切りましたが、問4の自動制御のミスが本当に悔やまれます。
やはり試験本番ではいくら平常心を心がけてても、持っている実力値をそのまま出すのは非常に困難ということが判りました。
また、1時限目【電力・管理】と同様に、2時限目【機械・制御】も本当に時間が足りませんでした。
【機械・制御】は問4の部分点を考慮して60%程度、部分点無しなら40%といったところです。
難易度的にはやややや易~標準といったところでしょうか?
ちなみに、今回選択しなかった 問1の誘導機でも、受験生を引っ掛けようとするトラップがあったようで…
今回の【機械・制御】科目では、電気に関する知識を問うというよりも、ミスや不注意をすることなく問題を完答できる資質を求めているように感じました。(電気設備の管理の為には当然必要なんでしょうけど。。。)
まとめ ※R4年度 再挑戦します!
令和3年度受験結果は不合格でした。R4年度 再挑戦します! 2022.02.14追記
当日に二次試験を受験された皆さま、大変お疲れさまでした。
終わってみて、反省点やタラレバが色々とありましたが、やれることは全て出し切ったと思います。
【機械・制御】の問4:自動制御のミスが本当に悔やまれます…が、こういった事があるのも二次試験。
ミスや、やらかしも含めての自分の実力値だと感じています。
初めての二次試験でしたが試験会場の雰囲気など、色々と経験することができました。
今回の結果は非常に残念なものとなってしまいましたが、次なる目標に向けて前に進んで行きたいと思います。
初めての電験二種二次試験、かなりHeavyな一日で心身共にぐったりしましたが、帰り路での試験会場近くのイチョウ並木の紅葉が癒しになりました。
- 試験本番は独特の雰囲気や緊張があり、持っている実力値を100%出し切るのは極めて困難
- 回答する設問の選択は慎重、かつ素早く!
- 噂では聞いていたが、本当に!本当に!想像以上に時間が足りない!『綺麗に+わかり易く』よりも、『早く+確実に』が重要
- これまで受験した電験三種、電験二種一次試験に比べて、受験生の気合の入り方が違う!(と感じました)
- 電験二種受験に向けの準備として、是非とも電験一種の過去問にも取組んでおきたい
今回はここまでとさせて頂きます。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。