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【電験三種】電力科目は“現物”と“英語略称”で克服!~電力が苦手な人向けの勉強法について

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電験三種(第三種電気主任技術者試験)の【電力】科目は、大きく『発電』『変電』『送電』『配電』『電気材料』の分野から出題されます。

【理論】【機械】科目に比べて計算問題はやや少なめではありますが、その代わりに知識問題が多いため、暗記が苦手な人にとっては何となく敬遠しがちなのではないでしょうか?

本記事では、【電力】科目を攻略するためのコツについてまとめたいと思います。

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電験三種【電力】ってどんな問題が出るの?

出題形式

A問題:14問
B問題:3問(×小問各2問)=6問
計20問の出題です。

【理論】【機械】科目のように、B問題での選択問題はありません。(すべての問題が必須問題です)

1問あたり5点の100点満点です。

5つの選択肢から正答を1つだけ選ぶ五肢択一形式です。

100点満点中60点(6割)取れれば合格です。
年度により合格最低点が60点を下回る場合があります。

試験時間は90分です。(通常は、11:25~午後0:55)

出題範囲
  • 発電(水力・火力・原子力・新エネルギー)
  • 変電(変電所の設備、変圧器の結線)
  • 送電(送電線路、電線のたるみ、中性点接地方式、地中送電)
  • 配電(線路電圧降下、配電方式、配電設備)
  • 電気材料(磁性材料、絶縁材料、導電材料)
傾向

電気設備・機器に関する原理、方式などを問う問題が多く出題され、用語の意味を正しく理解する必要があります。

計算問題については定型化されたものが多く、公式もそれほど多くはないため、正しく理解していればそれほど難しくはないかもしれません。  

知識問題と計算問題の比率は約半々程度です。

電験三種【電力】って何で難しいの?

電験三種【電力】の難しいところは、以下に挙げる点だと思います。

  • 覚える用語が多すぎて覚えられない。
  • 覚える用語が指す物が何なのかわからない。

覚える用語が多すぎる

【電力】科目でつまづきやすい点として、まず覚える用語が多い点にあるのではないでしょうか?

仕事がら、日ごろより電気設備・機器に触れている人ならともかく、大多数の電験三種の受験者は、聞いたことも無いような言葉が多く出てきてうんざりといった人も多いことでしょう。

例えば、水力発電における重要な用語について見てみましょう。

第一章 水力発電のポイント

【重要な用語について】

取水口、沈砂池、導水路、サージタンク、ヘッドタンク、水圧鉄管、吸出管、放水路

重力ダム、アーチダム、ロックフィルダム

ペルトン水車、フランシス水車、斜流水車、プロペラ水車

バケット、ニードル、デフレクタ、ジェットブレーキ、ガイドベーン

キャビテーション、水撃作用(ウォーターハンマー)

比速度、速度調定率、ガバナ

などなど・・・

これらの用語をしっかり覚えましょう!!

はいはい。。。(もう、おなか一杯・・・)

【電力】科目の特徴として、とにかく覚える用語が多いことが挙げられると思います。

覚える用語が指す物が何なのかわからない。

覚える用語が多い上に、用語が指す物が何かわからないといったケースも多くあるのではないでしょうか?

『発電』の項目について、例えば水力発電における『ダム』であれば、旅行先の観光地で見たことがあるといった方もおられるでしょう。

ダム式発電所の黒部ダム
ダム式発電所の黒部ダム(富山県黒部市)

しかしながら、実際のダム式発電所の設備の一つ一つをじっくりと見ることが出来るといった機会はそう多くはありません。

子供の頃、社会科見学や修学旅行の見学コースで見たことがあるといった方でも、大人になるとそういった機会はめっきり減ってしまいます。

『発電設備』『変電設備』といった設備については、危険を伴う為に一般の人が立ち入る事がなかなか許されておらず、具体的にどんな物なのか見たことが無いといったケースも多いのではないのでしょうか?

電験三種【電力】攻略に向けた勉強法について

電気設備・機器を実際に目にする

発電設備、変電設備は実際に施設の中に入って直接見るといった機会がなかなか無いため、イメージが沸きづらいといったこともあるかと思います。

しかしながら現在はインターネットの普及により、写真ベースではありますが、ネット上で検索して見る事が簡単に出来るようになりました。

インターネットを用いてわからない用語を調べて、写真を見て覚えることも、効率よく勉強する上で有効な手段の一つとなります。

発電設備において、火力発電所や原子力発電所の敷地内に入ることは難しいかもしれませんが、水力発電や風力発電については、旅行先でダムや風車を目にする事があるでしょう。

そんな時、旅行気分から少しだけ離れてみて【電力】科目の事を思い出して観光することにより、少なからず電気設備に関する知識の幅と厚みを増やすことが出来るのではないでしょうか?

  • 『黒部ダムの有効落差は545.5mであり、高落差に使用されるペルトン水車が使われてる。』
  • 『風力発電の出力は風速の3乗に比例し、より効率よく発電する為、風が強く吹き、多くの風車を設置出来るよう、広い平地を有する北海道に多く建てられてる。』

このように旅行先で観光を楽しみつつ、(少しだけ!)電気の勉強を思い出すことを意識するのが効果的と言えます。

また、旅行先でなくても普段身の回りにあるものについて、【電力】科目に関連するものを目にすることが出来ます。

例えば、ここ数年で太陽光発電システムをいたる所で見る事が出来ます。

太陽光発電のソーラーパネルは、

  • もっとも小さいマス目単位の『セル』を、
  • 縦横に並べて『モジュール』と言われるパネルにし、
  • さらに『モジュール』をまとまった単位で直列接続した『ストリング』
  • 基礎・架台と組み合わせて『アレイ』により構成されている。

外出先の太陽光発電のソーラーパネルを見ながら、このような形で覚えることも理解を深めるコツの一つと言えます。

太陽電池アレイ

発電設備だけでなく送電設備についても、例えば鉄塔や送電線を注意して見ることにより、『架空地線』や、『アークホーン』『スペーサ』なども見る事が出来ます。

山間の土地に出かけたときは、送電線を眺めながら

  • 『鉄塔の間隔と電線1m当たりの合成荷重、電線の最低点における水平張力が判れば、たるみ量が計算できる』

といった事を思い出してやれば、たるみの式も簡単に覚える事が出来るはずです。

【電線のたるみの式】

$$D=\frac{WS^2}{8T}$$

送電線のたるみ

このように、【電力】科目に対して効率用勉強を進める上で、出題される用語が指す物を実際に目で見て理解して覚えるといった事が非常に効果的と言えます。

英語略称と合わせて覚える

【電力】科目が難しい理由として、“覚える用語が多すぎる”事について述べました。

用語を少しでも覚えやすくするコツとして『英語名と英語略称合わせて覚える』事が効果的と言えます。

例えば、変電設備における開閉設備に関する用語について、以下にまとめてみました。

設備名役割・特徴英語名英語略称
断路器無負荷回路の開閉を行うDiSconnectorDS
開閉器負荷電流の開閉を行う(正常動作時)Load Break SwitchLBS
遮断器負荷電流および事故電流(短絡電流、地絡電流)の開閉を行う(異常動作時)Circuit BreakerCB

日本語の文字だけだと、

  • 『断路器』
  • 『開閉器』
  • 『遮断機』

と、どれも同じような用語となり違いが分かりづらいですが、英語名、英語略称と組み合わせることにより

『断路器』DS:電つ(=Disconnect)
⇒無負荷時に行う保守点検用
⇒負荷開閉能力は無い

『開閉器』LBS:正常動作時の電路を開閉(=Switch)
⇒負荷電流を開閉

『遮断機』CB:負荷電流および事故電流を遮断(=Brerak)することにより負荷側の設備を保護し、上流側への事故波及を防止する開閉器
⇒保護継電器と連携
⇒アークを消すための消弧機構がある

このように英語名と英語略称と合わせる覚え方は、それぞれの役割・機能も関連づけることが出来て効果的です。

『変電』設備にはこれら以外にも

設備名英語名英語略称
計器用変圧器Voltage(電圧) Transformer(変換)VT
変流器Current(電流) Transformer(変換)CT
零相変流器Zero-phase(零相) Current(電流) Transformer(変換)ZCT
過電流継電器Over(過) Current(電流) Relay(継電器)OCR
地絡継電器Ground(地絡) Relay(継電器)GR
ガス絶縁開閉装置Gas(ガス) Insulated(絶縁) Switchgear(開閉装置)GIS
静止型無効電力補償装置Static(静止型) VAR(無効電力) Conpensator(補償装置)SVC
避雷器Light(雷) Arrestor(避ける)LA

このように英語名、英語略称と合わせて覚えることにより、それぞれの役割・特徴も同時に関連付けることが出来、より覚えやすくなるコツと言えます。

  • 電気設備・機器を実際に見る
  • 用語は英語名と英語略称と合わせて覚える

今回はここまでとさせて頂きます。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。