電験三種(第三種電気主任技術者試験)の【機械】科目の出題範囲・分野は、他の科目に比べて比較的広いです。(…と少なくとも、管理人:やっさんは感じています。)
その為、一旦つまづいてしまうと次に進むのが嫌になってしまい、苦手意識を持ってしまう人も多いのではないでしょうか?
また計算問題の出題も比較的多いため、単なる知識問題の暗記分野に的を絞って試験に臨んだとしても、それだけで合格点を取るのは困難です。
本記事では、【機械】科目を攻略するためのコツについてにまとめたいと思います。
電験三種【機械】ってどんな問題が出るの?
A問題:14問
B問題:3問(×小問各2問)=6問
計20問の出題です。
【理論】科目と同様に、B問題のうち問17、問18は選択問題となっており、2問のうちのどちらか1問を回答します。
1問あたり5点の100点満点です。
5つの選択肢から正答を1つだけ選ぶ五肢択一形式です。
100点満点中60点(6割)取れれば合格です。
年度により合格最低点が60点を下回る場合があります。
試験時間は90分です。(通常は、午後2:15~午後3:45)
- 回転機(直流機、誘導機、同期機)
- 変圧器
- パワーエレクトロニクス(半導体素子、整流回路、チョッパ回路、インバーター)
- 電気エネルギー利用(電動機応用、照明、電熱、電気化学)
- 自動制御
- 情報
計算問題のウエイトが大きく、知識問題と計算問題の比率は4:6程度です。
知識問題は、用語の意味や機能・役割をしっかりと理解していればそれほど難しくはないでしょう。
但し、文章を慌てて読んでしまい、ついつい間違った選択肢に引っ掛かってしまうケースが多くあるため(ex.大きく⇔小さく、増える⇔減る)、問題文を正しく読んで正確に回答することが必要です。
計算問題については、問題文から必要な公式を出来るだ早く導き、設問に合うように立式し、正答を導く事が求められます。
電験三種【機械】って何で難しいの?
電験三種【機械】の難しいところは、以下に挙げる点だと思います。
- 出題される範囲・分野が広い
- 計算問題が多くて公式が覚えられない
出題される範囲・分野が広い
電験三種【機械】科目は、他の科目に比べ出題範囲・分野が広いと感じる方は多いのではないでしょうか?(私もそう感じている一人です。)
電験三種【機械】の出題範囲・分野はこのような感じです。
- 回転機
- 直流機
- 誘導機
- 同期機
- 変圧器
- パワーエレクトロニクス
- 半導体素子
- 整流回路(単相・三相)
- チョッパ回路
- インバーター
- 電気エネルギー利用
- 電動機応用
- 照明
- 電熱
- 電気化学
- 自動制御
- 情報
ざっと、このような感じになります。
①回転機(誘導機)と②変圧器はある程度類似しており関連性があるものの、
④電気エネルギー利用(電動機応用、照明、電熱、電気化学)、⑤自動制御、⑥情報 それぞれおいて互いにあまり関連性が見当たりません。
その為、参考書のページを開いても『え~...また一から新しく覚え直しか~😰。』と気が重くなってしまう事もあるのではないでしょうか?
電験三種【機器】科目の攻略のカギは、膨大は出題範囲・分野をいかにして効率よく理解するかに関わってきます。
計算問題の種類が多くて公式が覚えられない
【機械】科目はどの分野にも共通して、まんべんなく計算問題が出題されます。
【機械】科目については知識問題と計算問題を同時に対応できるように、どの分野についても十分に理解する事が必要ですが、出題される範囲・分野が広い為、すべての範囲をモノにするのは非常に大変です。
参考書の初めから勉強を進めていった方にとっては、最後の方にまとめてありがちな『情報分野』にたどり着くころには、『もう飽きた!』っと感じてしまう方も多いのではないでしょうか?
計算問題については覚える公式の種類が多い上に、【理論】科目のように物理量の定義だけで導出出来るものばかりではありません。パワエレにおける整流回路などについては、きっちりとした公式の導出には積分等の数学の知識が必要になります。
このように【機械】科目を難しいと感じさせている原因に対する攻略を踏まえた勉強法について以下にまとめてみます。
電験三種【機械】攻略に向けた勉強法について
複数の科目(分野)を同時に進める
【機械】科目攻略に向けての勉強法のコツとしては、複数の科目(分野)の同時学習が効果的です。
以下の表に、【機械】科目に出題される項目に対し、関連する科目、分野をまとめてみました。
【機械】科目 出題項目 | 類似科目 | 分野 | 類似する内容 |
---|---|---|---|
直流機 | 理論 | ・フレミングの右手・左手の法則 ・導体に働く電磁力、直線導体の誘導起電力 ・オームの法則 | ・直流機の誘導起電力の大きさ、回転数 ・直流機のトルク ・直流機の種類による特徴 |
誘導機 | 変圧器 | 等価回路 | ・固定子巻線⇔変圧器の一次巻線 ・回転子巻線⇔変圧器の二次巻線 |
同期機 | 電力 | ・電力安定度 ・負荷電流の電圧降下 ・短絡電流の計算 | ・ベクトル図 ・短絡インピーダンス⇔同期インピーダンス ・電力安定度向上 |
変圧器 | 誘導機 | 等価回路 | ・固定子巻線⇔変圧器の一次巻線 ・回転子巻線⇔変圧器の二次巻線 |
パワーエレクトロニクス | 理論 | ・半導体と電気回路 ・過渡現象 ・交流の実効値・平均値 | ・ダイオードの役割 ・電力用半導体素子(パワーデバイス) ・電流・電圧の時間変化 ・整流回路の平均電圧 |
電気エネルギー利用 (電動機応用、照明、 電熱、電気化学) | エネルギー管理士 【課目Ⅳ(電力応用)】問11~問15 | エネルギー管理士試験 ・問11、12:電動力応用 ・問13:電気加熱 ・問14:電気化学 ・問15:照明 | ほぼ出題分野が同じ |
自動制御、情報 | エネルギー管理士 【課目Ⅱ(電気の基礎)】問5 | エネルギー管理士試験 ・問5:自動制御、情報処理 | ほぼ出題分野が同じ |
この表より、
- 誘導機と変圧器は等価回路がほとんど同じ(=原理の考え方は、ほぼ同じ)
- 直流機、パワーエレクトロニクスは【理論】との関連が深い
- 同期機は【電力】科目との関連が深い
- 電機エネルギー利用は、エネルギー管理士【課目Ⅳ】(問11~15)との関連が深い
- 自動制御、情報は、エネルギー管理士【課目Ⅱ】(問5)との関連が深い
いきなり、『エネルギー管理士試験』と出てきて、少しびっくりされるもしれませんが、それほど心配する必要はりません。
『エネルギー管理士試験』の過去問を少しだけ見てみましょう。
出題方式も電験三種と同様すべてマークシート方式であり、電験三種を初めて受験される方でも、少しは理解できる問題もあるのではないでしょうか?
また電験三種よりも難しいとされているエネルギー管理士の試験問題に対して、少しでも手ごたえを感じられれば、よりモチベーションアップに繋がる事と思います。
管理人:やっさんも2019年に(2度目のチャレンジではありましたが…)『電験三種』、『エネルギー管理士』のダブル合格をすることが出来ました!👍
少し脱線しましたが。。。
このように【機械】科目については、他の科目(分野)と関連付けを行い、同時に勉強を進める事により効率よく理解を深める事が出来るといえます。
『電気エネルギー利用』の計算問題を得点源とする
計算問題はどの分野にも共通して、まんべんなく出題されますが、中でも
電気エネルギー利用
- 電動機応用
- 照明
- 電熱
- 電気化学
の計算問題はほぼパターン化されているケースが多いです。
事前に必要な物理量が与えられており、必要な公式を出来るだ早くに選定し、設問に合うように立式し、公式に当てはめれば確実に得点することが出来ます。
しかも、電験三種の計算問題は5択からの選択であり、有効桁数の取り方で解答が変わったりするような問題はほぼ出題されません。(計算過程が間違ってなければ、ほとんど1択に絞れるはずです。)
電気エネルギー利用(電動機応用、照明、電熱、電気化学)分野からの出題は、例年3~4問程度であり、15点~20点程度の配点があるため、決して小さくはありません。
是非、電気エネルギー利用(電動機応用、照明、電熱、電気化学)分野の計算問題を得点源とすることをおススメします!
電気エネルギー利用(電動機応用、照明、電熱、電気化学)の計算問題の攻略は、やはり数をこなすことに尽きます。
その為、電験三種の過去問を含め、エネルギー管理士【課目Ⅳ】(問11~15)の過去問も含めて日頃より取り組むことが有効です。
捨て問題を作ってもよい
過去10年分(2010年~2020年)ほどの電験三種【機械】科目の出題推移を見ると、
- 自動制御
- シーケンス
- 情報
- プログラミング
- フローチャート
- コンピュータの構成
- カウンタ回路
これらの分野から出題されてる年は、比較的少ない傾向にあります。(あくまで傾向ですが。。。)
また、『自動制御』『情報』分野からの出題は、B問題の問17、問18の選択問題となっているケースが多いです。
B問題の選択問題の問17、問18はどちらか1問のみ(小問2問)解答すれば良く、設問を見てから解答するかどうか決めても問題ありません。
試験勉強の時間が十分に取れないといった方は、自動制御(シーケンス)および情報分野(の一部)は捨て問題として少し手を抜いて進めるのも攻略法の一つだと考えます。
しかし、
- 『自動制御』の伝達関数(ブロック線図)
- 『情報』の論理回路、ブール代数、基数変換(2進数、8進数、10進数、16進数)
これらの分野は比較的頻出される傾向があるため、全てを捨て問題とすることなくポイントを絞って準備することが望ましいでしょう。
- 複数の科目(分野)を同時に進める事によりモノにする
- 『電気エネルギー利用』の計算問題を得点源とする
- 捨て問題を作ってもよい
今回はここまでとさせて頂きます。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。